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フィギュアとか模型とかゲームとか 駄目オタ雑記

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自己満足的なアレ。  

手慰みに書いた、オトギアのアフターSSです。

大前提として、
このSSは「オトギアの最終章をクリアした人にのみ向けたモノ」です。
一見さんにはまったく意味不明な代物ですのでご注意ください。

「あの世界」での出来事は、今でもはっきりと覚えている。
自分の記憶を疑うこともあったけど「あの世界」に生きる人々の息遣いや想い、
眩しい笑顔を思い出しては、それらは全て現実のものであったと自分に言い聞かせてきた。

かつて大冒険を繰り広げた「あの世界」で過ごした日々は
夢見がちな私にとって、文字通り夢のような毎日だった。

「機械仕掛けの神」と呼ばれる、世界を創造し管理する者。
創世から存在する、神の生み出した「神の模倣品」。
その名の通り、神に等しい力を持つその絶対的な存在は、
今私が存在する、こことは違うまったく別の宇宙で無数の世界を紡ぎ出していた。

しかしいつの頃からか、「機械仕掛けの神」は異常をきたし、
自身が生み出した世界を混乱に陥れる「改変」を発生させるようになった。

魔女や狼男、海賊や幽霊が当たり前のように姿を現し、
村や国、世界を破滅に導くこともあった。
だけどそれらに立ち向かう人々も存在した。

赤い頭巾をかぶった口の悪い女の子や、
元気な妹に振り回される、気弱だけど真面目な男の子。
空を自在に飛びまわることが出来る少年と、その恋人を自称する小さな妖精。
世界一の冒険王や、大きな身体に優しい心を宿した獣のような紳士。
みんながそれぞれの思いを胸に抱いて、
世界を揺るがす大事件に立ち向かっていた。

私自身も、そういった人々の仲間の一人として
人知を超えた怪現象…「改変」と戦っていたのだ。

その戦いの果てで、私はたくさんの仲間と共に
「機械仕掛けの神」が鎮座する、天高くそびえる塔の頂上へと向かった。
眼前には神。
私たちのような人間には、抗うことなど出来ない強大な存在。
それでも立ち向かう他なかった。
私たちにはそれ以外の選択肢は残されていなかったのだから。

数瞬後、眩いばかりの光が私を包んだ。
いや、私だけじゃない。
私の周りに居た仲間たちも、皆その光に飲まれようとしていた。

何が起きたのか分からない。
だけど不思議と恐怖は感じなかった。

ふと視線を泳がせると、いつも私の隣にいてくれた女の子がそこに居た。
赤い癖っ毛をお下げにした、そばかすのある元気なその子が、
必死の形相で何かを叫びながら手を伸ばしてくる。
私は無意識のうちにその手を掴み、そして…全てが真っ白になった。

長い間気を失っていたのだと思う。
すっかり薄暗くなった頃、ようやく目覚めた私は
辺りの景色がまるで変わっていることに驚いた。
いや、全てが元通りになっていたという方が正しいかもしれない。

私が目覚めたのは、私の家のそばにある橋の袂。
そう、「あの世界」に足を踏み入れる前の「私の世界」だったのだ。

いったい、何が起きたのかまるで分からない。
ひとつだけ分かっていることは、私は「私の世界」に帰ってきてしまった。
ただそれだけだった。

私は友達や家族に、「あの世界」での出来事を話した。
色々な世界を冒険して、たくさんの人たちと楽しく過ごしていたのだと。
だがそんな私を見る彼らの目は、一様に冷ややかだった。
いつまでも夢見がちな事を言うものではないと諭されもした。

誰にも信じてもらえず悔しい思いをしたが、
私と冒険を共にして、あの日同じように橋の袂で目が覚めた私の飼い猫の
何かを訴えるような瞳と仕草が、私を孤独から救ってくれていた。

けれど、私を変わり者扱いする周囲の目に耐えられず、
やがて私は自然と「あの世界」のことを口にしなくなっていった。

そして2年あまりの時が流れる。

世界の全てが灰色に見えるようになっていた私は、
この世の全てに興味が持てなくなっていた。

そんなある日のこと。

一通の手紙が、私の住む家に届けられた。
便箋に綴られた内容と、端に書かれたサインを見て、私は心臓が飛び出すほどに驚いた。

「やっと見つけたよ、アリスちゃん。
 例の場所で待ってるからね。
                 ドロシー」

次の瞬間、私は家を飛び出していた。
夕飯の支度を放り出して、胸にキティを抱きしめて。
もつれる足を精一杯動かして私は走った。
あの日、私とキティが目覚めた橋の袂に向かって。

「あの世界」で一緒に暮らした、赤毛とそばかすの女の子。
同室で過ごし、何度も私の故郷について話をした。
その時に話題にしたのが、私のお気に入りの場所である橋の袂だった。

息を切らせて橋にたどり着く。
夕日が影を長く伸ばし、その主導権を闇夜に明け渡そうとしている頃。
私は、彼女に再会した。

「…アリスちゃん!」

「ドロシー…ちゃん…!」

あの頃と比べて、少しだけ大人びた顔立ち。
だけどそこにいるのは間違いなく彼女…ドロシーだった。
足元で優しく尻尾を振るスコティッシュテリアのトトも、
私を覚えているのか、行儀よくお座りをしている。

「久しぶりだね、アリスちゃん!」

胸が一杯で言葉にならない。
聞きたいこと、話したいことは山ほどあるはずなのに。

いったい何故ここにいるのか。
あの日から今までどうしていたのか。
どうやって私を見つけることが出来たのか。

だけどそれら全ての言葉を飲み込んで、
私はたった一言だけを搾り出すように呟いた。

「…会いたかった…ずっと、ずっと…!」

喜びと安堵と、様々な感情が入り混じった涙が止め処なく流れる。
全身から力が抜け、しゃがみ込んでしまった私に
ドロシーは呆れつつも微笑みながら、ハンカチを差し出してくれた。

「あーもー、ぜんぜん変わってないなぁ。
 アリスちゃんってば、相変わらず感動屋さんなんだから♪」

「ご…ごめんね…。でも、なんで…?」

何について尋ねたのか、自分でも分からない。
いや、尋ねることが多すぎるせいもあったからだ。
だけど彼女はその問いに答えることなく、私の口を指で押さえ黙らせた。

「まー小難しい話は後にしよっか♪
 それじゃ、さっそく行こうよ!」

「え…?行くって…どこへ?」

まったく話が見えない。
いったいどこへ行こうというのか。
困惑する私の手を取り、立つことを促すドロシー。
そして彼女は、綺麗に輝く靴を片方脱いで、私に履くよう促した。

「ん。これ履いて」

「え…?どういう…こと?」

「いいから!ほらほら、早くする!」

強引なのはあの頃から変わらない。
私は言われるがままに、彼女が脱いだ靴を右足に履いた。

すると彼女は私の右手側に手を繋いだまま立ち、
足元に居たトトは彼女の身体を駆け上がって頭の上に行儀よく座った。
同じようにキティも、私の腕から逃れ肩に座り直す。

「あっ!こらトト!頭には乗るなって言ってるのに!」

「ドロシー…ちゃん?いったい、何をするの…?」

「え?だから行くんだよ!」

満面の笑みを浮かべながら、彼女は自分の左足と私の右足…。
ルビー色に輝く靴の踵を打ち付けた。
涼やかな音が鳴り響き、辺りの空気が一変する。

「な…なに、これ…!?」

「いーからいーから!
 さ、今度はアリスちゃんがやってよ!」

そう言って彼女は、今度は私が踵を打ちつけろと促してくる。
言われるがままに踵を滑らせ、今度は私が軽やかな音を響かせた。
不思議な光があふれ出し、私たちの周りを柔らかな風が渦巻き始める。

その光と風に、私は懐かしさを感じていた。
胸が高鳴る。
そしてうっすらと理解し始める。
彼女が私を、どこへ連れて行こうとしているのかを。

「…本当に?もう一度、あそこへ行けるの?」

「もっちろん♪みんな待ってるよ!」

私は彼女の手を強く握った。すると彼女もまた握り返してくる。
そしてなんの合図もなく、同時にお互いの靴の踵を打ちつけ合った。

光の奔流が足元から湧き上がる。
徐々に強さを増していく光に、意識が解けていく。

また冒険の日々が始まるという喜びと期待を胸に抱きながら、
私は光の向こうへ飛ぼうと思った。


-終わり-



以下、補足説明

・アリスとドロシーが現実世界に居る理由
「機械仕掛けの神」によって全ての物語がリセットされ、登場人物は全て元の世界に戻されました。
ですがアリスとドロシーは元々現実世界の人間です。
元の世界=現実世界であり、ワンダーメイズやブリックロードに戻るわけではないのです。

・ドロシーの手紙とアリスのお迎え
ドロシーはおそらく、アリスよりも一足早くあちらの世界に戻ることが出来たのでしょう。
そして「機械仕掛けの神」の望みどおり、やり直した世界で物語を終えた。
けれどアリスは未だこちら側に来ておらず、いつまで経ってもアリスの物語が終わらない。
業を煮やしたドロシーが現実世界に戻り、アリスの居場所を突き止めて
ルビーの靴を使ってオトギア世界へ連れて行った、といったところでしょうか。
二年経ったのは、アリスの居場所を突き止めるのに時間がかかったためです。

・なんでこの二人のお話なの?
好きだから。

・実はこうしたかったんだよ!ΩΩΩ<ナ、ナンダッt(ry
本当は、アリスは47歳でドロシーは14歳として再会させることを考えてました。
物語の発行日が不思議の国のアリスは1865年、オズの魔法使いは1900年であり、
作中ではアリスは10歳、ドロシーは12歳です。
仮に発行日の年数と作中の年齢をリンクさせると、アリスはドロシーよりも33歳年上に。
つまりアリスが元の世界に戻った時点ではドロシーはそもそも生まれておらず、
どうあってもオトギア世界で二人が出会ったときの姿で再会するのは不可能に…。
シチュエーション的にはすごく面白くなる場面なのですが、
おばちゃんになったアリスとか誰得よ、と思い直して年代無視しました。



まぁなんというか、久々のオトギア関連文言でしたとさ。
あれ、ブートレッグのイベントストーリー説明はどうした俺…。


category: オトギア

tb: 0   cm: 2

コメント

オトギア

読み始めて直ぐにアリス視線だと理解出来ました。
まだまだ遊びたかったオトギア。
私のパーティには、必ずこの二人が入っていました。
また、いつの日にか再開出来る事を願って。
SSありがとうございました。

URL | あずき #-
2015/08/28 13:17 | edit

>あずきさん

コメントありがとうございます。
オトギアはああいう形で一応完結させはしましたが、
まだまだ書き足りないというのが本音です。

なので、今後も気が向いたら&余裕があれば、
唐突にSSを上げるかもしれません。
その時にまた読みに来ていただければ幸いです。

それにしても、コメントのレスとか何年ぶりだよw

URL | フジワラウサギ #-
2015/08/28 15:56 | edit

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