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白ウサギの長い一日1  

オトギア関連の小ネタです。
興味無い人は今すぐ回れ右。



窓の外から、夜明けの到来を喜ぶ小鳥のさえずりが聞こえる。
カーテンの隙間から差し込む光が、暗がりの部屋の中に一本の眩い線を描いていた。
細く、まっすぐ伸びた朝日の一筋は、その部屋で眠る一人の少女の顔を横切るように照らす。
まどろみの中にいてもなお朝の到来を認識させられるほどの強い日差しは、二度寝の誘惑を粉々に打ち砕くほどに強烈だった。

「…ん…もう、朝…か…」

十数秒前までの、夢心地の中にいた自分を懐かしく感じながらも意識を覚醒させていく。
容赦なく差し込んでくる光を、少しだけ恨めしそうに睨みつけながら、しかしその眩しさにすぐ目を背けた。

「体内時計が狂っちゃったかな…もう少し早く起きるつもりだったのに…」

そういいながら少女は上半身をベッドから起こした…つもりだった。

「…あれ?」

身体が重い。
いや、身動きがまったく取れない。
痛みがあるとか、変調を来たしているというレベルではない。
何かに完全に固定されているといった具合だ。
常人ならば起き抜けにそのような事態になっていたとしたら、さぞ慌てふためいたことだろう。
だがこの少女は「常人」ではなかった。

「…また…ボクを抱きしめて寝てたのか…」

呆れとも怒りともつかぬ声色で少女は自分の身体にまとわりついた腕を見る。
そして首の向きだけを変えて、その腕の主の顔を確かめた。

「…えへへぇ…やぁ~らかいねぇ~…」

その腕の主はスヤスヤと寝息を立てながら、満面の笑みで寝言を口にしていた。
柔らかなロングの金髪と人形のように美しく透き通った肌の少女が、まるでぬいぐるみを抱いているかのように自分を「拘束」しているのを確認する。

深いため息をつき、絡みついた腕を解きほぐそうとするがなかなか上手くいかない。
体勢が悪いのかなと、下半身を使って体の向きを変えようとすると…。

「…あははは~…しゃー…んなろぉ~…」

何をどうしたらそうなるのか。
短くて柔らかな自分の足に、赤毛とそばかすの少女が足を絡めたまま小さないびきをかいていた。
お互いの足が、数字の「4」の形に見えるような、なんとも奇怪な状態になっている。
ここまで冷静だった「常人」ではない少女も、一瞬ではあるが頭を抱えた。

「…なんで…四の字固めをかけられてるんだろ…」

それは純粋な疑問だった。
理不尽な状況による怒りを感じるよりも、先に疑問が浮かび上がる。
それは誰よりも理論的な彼女にとって、当然の思考だった。

だがそれもほんのわずかな間のこと。
いつまでも考え込んでいては、何の進展も無い。

というか、ぶっちゃけいい加減にしろ。

それが彼女が導き出した答えだった。

「…………潰れちゃえっ!」

朝7時42分。
テイルリペア協会、女性キャラクターズ専用宿舎に轟音が響き渡った…。





「あいたた…。もう、やりすぎだよウサちゃん!」
「朝からあんな騒ぎになるなんて…」

ドレッサーの前に陣取った赤毛とそばかすの少女と、所在なさげに肩をすくめる金髪の少女。
ドロシーとアリスは、眼前の小柄な少女に抗議していた。

「キミたちはボクに何をした?まるでぬいぐるみ扱いだ。そんなのはゴメンだよ」

仏頂面を浮かべ、機嫌の悪さを隠そうともしない小柄な少女…白ウサギは、そんな二人の言い分に真っ向から反論した。

「だってさぁ、ウサちゃんってば柔らかくって温かいんだもん♪」
「髪の毛もふわふわで…つい抱っこしたくなっちゃって…」

たった今自分が言ったことを、この二人はまるで理解していない。
そのことを把握した瞬間、白ウサギは怒りを通り越して呆れを覚え始めていた。

「はぁ…もういいよ。キミたちがボクをそういう風に扱うっていうなら…」
「いうなら?」
「もうキミたちと一緒の部屋に寝泊りはしない。別のメンバーのところに行かせてもらうよ」
「…え、えぇっ!?」
「そんなぁ…」

驚きと悲しみが入り混じった声で、ドロシーとアリスが叫んだ。

テイルリペア協会に所属しているキャラクターズたちは、協会から提供された宿舎を利用している。
部屋割りは基本的に自由であり、大体の部屋が2人から3人部屋となっている。
ドロシーとアリスは年齢が近いことと、出身の世界が同じこともあって特に仲が良く、それゆえ室で暮らしていた。
そこへ白ウサギが仲間として加わったとき、アリスとの縁もあって同じ部屋に入ることになったのだが…。

「ウサちゃんがいなくなったら、ボクは誰で安らぎを得ればいいのさぁ~!」
「あ、あの…私じゃ安らげませんか?」
「アリスちゃんもいいけど…ウサちゃんの安らぎとはまた違うんだよぉ~!」

不穏な問答をはじめた二人に呆れ、今日何度目かのため息をつく白ウサギ。
そこへ、開け放たれたドアをノックする音と共に二つの人影が部屋に入り込んできた。

「あの…ドロシーさん。これ、持ってきました」
「わお♪ありがと!人魚姫ちゃん!」

頼まれていたものをおずおずと差し出す人魚姫と、そんな人魚姫をほほえましく見つめる美女が一人。

「すみません、トリトン様…。朝早くからお邪魔してしまって…」

そう。
今現在、ドロシーとアリス、白ウサギが居るのは、彼女たち三人の部屋の隣室の、人魚姫とトリトンの部屋であった。

「構いませんよ。賑やかなのは大歓迎です…」

気品溢れる物腰と笑顔でそう答えると、トリトンはベッドにそっと腰掛けた。
その動作一つ一つに、まさしく神が宿ったかの如き優雅さを感じる。
…いや、トリトン自身が神様なのだから当然だが。

「ひゃー!冷たっ!気持ちいぃ~♪」
「ドロシーちゃん、コブは痛む?」
「んー…そうだね、まだちょっと痛いかなぁ」

そう言いながら人魚姫に手渡された氷のうをおデコに押し当てる。
痛みに眉をしかめるドロシーのおデコの一部が真っ赤になっていた。
傷こそ付いていないものの、しばらくは赤く腫れることだろう。
そして、そんな事になってしまった理由は…。

「自業自得だね。少し反省したほうがいいよ」
「ぶー!ウサちゃんがやりすぎなだけだってば!」
「部屋中のモノがぺしゃんこになってましたからねぇ…」

寝起きの際、ドロシーとアリスの両者から体固めを食らっていた白ウサギは、怒りに任せて時空召喚魔法を炸裂させた。
その際飛び散った家具の破片が、ドロシーのおデコに直撃したというわけである。
かくして白ウサギは二人の拘束からは解放されたのだが、その代償として三人の部屋は見るも無残なことになっていた…。

「とにかく!キミたちがボクの扱いを改めない限りボクはもうあの部屋には戻らない!
 ほかの仲間の部屋に泊めてもらうことにするからそのつもりで!」

白ウサギは、幼い顔立ちに似合わないハキハキとした口調でビシっとそう宣言する。
こうも言い切られては従うほか無い。

「って言ってもさぁ…実際のところどうすんの?」
「そうですねぇ。急な話だから、みんな受け入れてくれるかどうか…」

返す刀で至極当然の事を尋ねられ、一瞬だけ考えを巡らせる。
そして白ウサギの真っ赤でつぶらな瞳は、目の前の優雅な姉妹に向けられた。

「そうだね…早速で悪いんだけど、今日はキミたちの部屋に泊めてもらえるかな?」
「えっ…?わ、私たちの部屋に…ですか?」

ドロシーが退いた事で空いたドレッサーの椅子に腰掛けていた人魚姫は、その言葉に激しく動揺した。
まるでその言葉を予測していたような、だけどそうであって欲しくないという表情を浮かべて。

「どうしたんだい?なにか都合が悪いのかな…」
「い、いえ…その…」

どうにも言葉の歯切れが悪い。
というより、何かに迷っている雰囲気だった。
よく見ると人魚姫は、姉であるトリトンをチラチラと見ている。

「スペース的な問題なのかい?見ての通りボクは小さいから、少しだけ寝床を開けてくれればいい」
「いえ、そういうことではなくて…お、お姉様…!」

返答に詰まり、ついに姉に助けを求める。
成り行きを見守っていたトリトンは、溜息混じりに助け舟を出す事にした。

「白ウサギ様を今晩、この部屋にお泊めするのは難しいと思いますわ…」
「どうしてだい?さっきも言ったとおり、寝床なら…」
「…あちらを…ご覧いただけますかしら?」

白ウサギの言葉を遮りながらトリトンが指差した先。
そこは隣室に面した部屋の壁だった。
そしてその壁には…大きな亀裂と窪み、無数の穴が穿たれていた。

そう。隣はドロシーとアリス、そして白ウサギが入居していた部屋である。
白ウサギの時空召喚魔法は、三人の部屋のみならず隣室の壁まで破壊していたのだ。

「これではお客様をお泊めするどころか、私たちも部屋の修理のために一旦退去せざるを得ません…」
「…なるほど…そういうことか…」

ことここに至り、白ウサギはようやく「少しやりすぎたかもしれない」と考え始めていた。
だがその考えを口にしたりはしない。
もしそれを言ってしまえば、ドロシーが調子に乗るのが目に見えているからだ。

「ほーらほら、やっぱウサちゃんやりすぎなんだよー!うんうん♪」

前言撤回。
口に出さなくても調子に乗る娘だという事を忘れていたようだ…。

「それじゃあ人魚姫さん達も、他の人たちに泊めてもらえるよう頼みに行くんですね」
「お泊りのお願い巡りかぁ。ウサちゃん大変だねぇ」

二人の言い草に、白ウサギは心底呆れ返ったように溜息をついた。
どうしてこの二人はここまで能天気で居られるのだろう。
その疑問は、全てを知る者である白ウサギにも一生解けないような気がしてならなかった。

「何を人事のように言ってるんだい?一番破壊された部屋はどこだか思い出してごらんよ」
「…え…?それは…」
「私たちの部屋…ですけど…って、そうだ!そうですよドロシーちゃん!」
「んあ?なになに?」
「なになに、じゃなくって…私たちも誰かのお部屋に泊めてもらわなきゃいけないんですよっ!」

呆けた顔の見本のような、非の打ち所の無い「ポカンとした表情」を浮かべたそばかすの少女は、
赤く腫れたおデコに薄っすらと汗をかき始めた。
自分達も…いや、むしろ自分達が一番の当事者である事をようやく認識したのである。

「そ…そうだったぁー!ちょっとボク、着替えや荷物をサルベージしてくるっ!」
「わ、わたしもっ!」

そう言って二人は、破壊し尽くされた自分の部屋に駆け戻っていく。
わざとらしく溜息をついた白ウサギは、二人の後でゆっくりと人魚姫たちの部屋を後にした。

元の部屋と人魚姫たちの部屋は除外するとして…どこの部屋に潜り込もうか。

そんな事を考えながら宿舎を後にする白ウサギ。
宿無しになった小さなウサギの、長い長い一日が始まろうとしていた…。



To be continued…?

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